けーちゃんの日記(電子版)

のんびりしたい自分のための、なんでもない雑記帳。

名前も知らない彼。

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朝から雨が降っていた。

降ってはいた、のだけれど、今日は笛の後輩たちと都内で遊ぶ約束があったので、低気圧で痛む身体を無理矢理でも動かして外へ出た。

 

家を出て、最初の目的地である銀座へ向かう電車に揺られながら、千葉雅也さんの『別のしかたで』を読んでいた。たぶん、3回目くらい。

 

別のしかたで:ツイッター哲学

別のしかたで:ツイッター哲学

 

 

(新刊、『勉強の哲学』を早く読みたくてうずうずしていたけれど、なにしろまだ手元に無かったので、予習というところだろうか。ちなみに今日の帰りに手に入れた。)

 

隣に座っていた、おそらく同年代の男性もまた、ハードカバーの本を開いていた。昨今は電車内でスマホや携帯ゲーム機ばかり見かけるので、珍しさと、電車の中という閉塞空間の中、隣で本を読む彼に、シンパシーを感じた。服装や雰囲気も、なにか自分に近いものを感じたので、思わず声を掛けてしまいそうなるほど。

 

ただ、本を読む人間がふたり並んで座っているだけなのに。人と肩を並べ、何も語らず、ただ黙々と本を読む。それだけの時間が、なんだかとても重いものであり、共に過ごした彼に愛おしさすら感じるほどであった。

 

彼は、僕より3つほど手前の駅で降りた。最後まで、顔すら見なかった。

 

***

 

さて、『別のしかたで』は、Twitter上での千葉さんのツイートを再構成した内容である。文字数にすればそこまでボリュームはない。正直、銀座までの45分である程度読み切れてしまうのではないかとさえ思っていた。

しかし、短文ながらも深みのあるアフォリズム、なかなかページをめくらせてくれない奥ゆかしさに近い魅力によって、銀座に着くまでに4分の1ほどしか読み進めることができなかった。

 

ひとりで読むより、ずっと満たされた4分の1だったことだろう。